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『夜焚きイカ釣り』とは?
夜に光を焚いて(漁火)、イカや魚を寄せて釣りをすることを 『夜焚き釣り』 という。
シーズンは5~11月頃まで。特に玄界灘に面する北部九州 また、山口県から日本海エリアにかけて盛んに行われている。
メインターゲットとなるのが、イカの中で最高級とされる ケンサキイカ(北部九州での地方名:ヤリイカ、山陰:シロイカ、福井:マイカ)。
スッテの種類や、カラー、サイズ、誘い方の違いで、釣果にも差が出てくるので 奥が深く、幅広い年齢層の釣り人に人気がある。
夜焚きイカ釣り基本仕掛け
夜焚きイカ釣りの基本的な仕掛けは
初心者、あまり慣れていない方は、枝が3本~5本
枝の長さ5~20cmの仕掛けがオススメ。
ベテランの方は5本~10本仕掛けでする方が多い。
オススメ夜焚きイカ仕掛け図は、 コチラから。
イカの基本的な持ち帰り方
イカの持ち帰り方には、様々な方法がありますが、基本的な持ち帰り方として まずは、大型のクーラー(50リットル以上)をご用意ください。
次に、鮮度を保つために重要なのが、
(1)とにかく冷やすこと (2)イカを重ねないこと (3)氷の溶けた水に、浸さないこと
イカを重ねることで、墨袋が破れてしまい墨まみれ。 更には、重なってる部分が冷えない為、鮮度低下が進む。
釣果が~30杯程度の場合は、写真のようにバラ氷を敷き詰めた上に きれいにイカを並べて持って帰る方法でも、十分鮮度を保てます。
その場合、氷の溶けた水に浸らないように、定期的に排水 また、イカのミミ部分と足を、胴の下部に丸めこむように入れると 氷焼けを極力減らすことが出来る。
氷は、板氷よりもバラ氷が、よく冷えます。 墨が出た場合でも、イカが墨まみれになりにくい為 氷はバラ氷がお勧めです。
イカの持ち帰り方(木製トロ箱編)
上記の、(1)~(3)の条件をすべて満たすことができ 尚且つ50~100杯のイカを、鮮度抜群の状態で持って帰る 事が出来るのが、写真の木製トロ箱を使用した持ち帰り方。
大型クーラーの下にバラ氷を敷き詰めて、その上に2段3段と トロ箱を重ねることで、10時間後、20時間後でも おいしいイカを食べることができる。
木製のトロ箱は自作するのが一般的で、墨汚れや臭いの問題、衛生面等で 1~2年に一度は作り直さなければいけない。
釣って持って帰ったイカを、そのまま冷凍される場合や ご近所等にプレゼントされる場合に便利なのが、『傘入れビニール袋』
クーラーも汚れにくく、非常に便利なアイテムであるが 小~中型クーラーに重ねて入れることで、全体が冷えず 墨袋が破れて、墨まみれになる場合も多くなる為
『便利さ重視なら傘入れビニール袋』とお考えください。
イカの持ち帰り方(アルミ製トロ箱編)
長年の開発でようやく辿り着いたアルミ製のイカ用トロ箱。
釣ったイカ全てを、美味しく持って帰ってもらいたいという思いから 開発が進んでいき、【耐久性】【臭い】【イカの鮮度】【安全性】 全てをクリアしたのが、このアルミ製のイカ用トロ箱。
軽量で耐久性もあり、尚且つ熱伝導率の高さから 2段、3段と重ねた状態でも、全体を冷やすことが出来る。
上記で書いたように、木製の場合 臭い、耐久性の問題もあったが アルミ製の場合、塩分水分さえしっかり落としてもらえれば 半永久的に使う事が出来る。
イカの誘い方(一般的な誘い)
最も一般的な誘い方は、まず底まで仕掛けを落とし 2~3回大きくシャクリを入れる。
次に、ロッドを止めて、スッテを漂わせあたりを待つ釣り方と
誘いの後にゆっくりロッドを下げ、あたりを待つ釣り方がある。
これを2~3回繰り返し、当たりがない時は、数メートル巻き上げて別の棚を狙う。
スッテの違いや、その日の状況により、よく釣れる誘い方がありますので それを探すのも、この釣りのおもしろさです。
イカの誘い方(電動低速自動巻き)
ロッドキーパー(竿掛け)にセットした状態で、超低速で自動巻き上げを行う 船の揺れと電動の超低速巻上げが合わさり、誘いになる。
群れが大きい場合や、イカの棚がわからない時にオススメの釣り方。
自動巻上げ中に、釣れたイカの保存を行うことで効率のいい釣りが出来る。
この釣り方でされる場合は、エダス30~50cmとやや長めにして頂くと スッテがふわふわ動き、さらに効果的の場合もある。
イカの誘い方(糸ふけ釣法)
まず、底まで仕掛けを落とし、2~3回大きくシャクリを入れる。
次に、鉛を底につけた状態で小刻みなアクションを3~5回。
その後、鉛を底につけた状態で、糸ふけを出す。
浮力のあるスッテは、流れにのってふわっと漂ったときにあたりがある。
電動スロー巻きが楽ではあるのですが、明らかに底付近にいる場合は
この釣り方が効く場合もある。
イカの誘い方(誘い下げ釣法)
イカがいる棚がわからない時に下から誘い上げてくるのではなく 上から誘い下げていく釣法。
例えば、水深が50mの場合 、水深10mまで仕掛けを落とし、 2~3度シャクリ仕掛けを止めて反応を待つ。
当たらない場合はクラッチを切り、20mまで落とし シャクリを2~3度→仕掛けを止めて反応を探る。
その後30m、40m、50mと繰り返す。この釣り方は 上から落ちてくるスッテに高反応を示すイカに、対応する釣り方であり 棚がわからない時にも有効な釣り方となる。
スッテ素材の違いと特性
浮きスッテの素材の違いと特性を知っていれば、一流のイカ釣り師!
・ブロー成型プラスティック素材の浮きスッテ(ビビンスッテ) 伝統的な浮きスッテは、このブロー成型で作られる。 素材の中に空気を注入して成型。中が空洞になっており、偏りがあると 水圧でつぶれてしまう事があるため肉厚で均一な成型が求められる。 ボディが丈夫であり、漁師のほとんどが このブロー成型プラスティック素材のスッテを使われる。
・硬質発泡ウレタン素材の浮きスッテ(硬質発泡浮きスッテシリーズ) 高密度で高浮力素材。絶妙な浮力を設定することが可能。 しかし、素材の性質上、水深100mより深くなるような水深の場合 水を吸ってしまい、バランスが崩れる場合がある。 それを防ぐため、キーストンでは特殊成型法とコーティングにより 水を吸いにくい技術を独自で開発。一日中使っても高バランスを維持し続ける。
・インジェクション成型によるプラスティック素材の浮きスッテ 現在キーストンでは、インジェクション成型による浮きスッテは採用して ないが、市販品の多くは、このインジェクション成型で作られている。
地域や季節によるスッテサイズ選び方の違い
鹿児島~長崎~佐賀~福岡~山陰の南九州から日本海にかけては メインで4号サイズのスッテを使用するのが一般的。
しかし、京都~福井~石川~新潟になると2.5号サイズのスッテを メインサイズとして使うことが多い。
イカのサイズにスッテを合わせるという考え方と、捕食している小魚に スッテサイズを合わせるという2つの理由により地域によって違いがある。
玄海灘での夜焚きイカ釣りの場合も、小型のスッテ(2.5~3号)サイズが 有効になる場合もある。その為、小型のスッテを使用すると 同船者と比較にならないくらい数が釣れる場合があるので 様々なサイズのスッテを持っていくことも重要。
満月の夜は釣れないのか?
夜焚き釣りで、満月の夜は釣れにくいと北部九州では伝承されてきた。 はたして本当なのか?あえて満月の夜に、夜焚き釣りに数回行ってみた。
釣れる時間と釣れない時間があるのは感じたが まったく釣れない訳ではなかった。
様々な要因(釣り場、使ってる仕掛け、スッテ、気象条件、水温等)を考えると 「満月=釣れない」と、一概には言えないと思う。
ただ気になったのが、満月が雲で隠れると、ぱたぱたっと釣れ、雲が取れ始めると イカが抱かなくなった気がした。幾度となく検証する事が必要だとは思うが イカ釣り船の船長は、満月が海面を照らすと、イカが散らばってしまい 船の漁火に集まりにくい事が、「満月は釣れない」とされる 理由ではないかと言われていた。
また、満月=大潮であり、流れが速く 2枚潮になる場合が多いため釣り辛い事も考えられる。
夜焚きで釣れるイカの種類
・ケンサキイカ(地方名:アカイカ、シロイカ、ブドウイカ、マイカ、マルイカ、ヤリイカ)
夜焚きイカ釣りでメインターゲットのケンサキイカ。イカの王様とされ、最高級のイカである。
ヤリイカと比べて、ずんぐりしており、触腕が太く長い。食味はヤリイカより甘く
どんな料理にもあう、美味のイカ。
北部九州では、ケンサキイカのことをヤリイカという。
・ヤリイカ(地方名:ケンイカ、ゴウイカ、ササイカ、テッポウ、テナシ)
刺身、から揚げ、天ぷら、煮付け、沖漬け、一夜干し、どんな料理にもあう。 ケンサキイカと比較すると身が薄く、歯ごたえはあるが、甘みはケンサキイカの方が強い。 全国的に、水温が下がる冬に接岸し、防波堤からも狙うことができる。 ケンサキイカと比べ、胴は細長く、触椀が短く細いのが特徴。
・スルメイカ(地方名:真イカ、マツイカ、シマメイカ、サルイカ、ガンセキ、ムギイカ)
天ぷら、煮付け、一夜干しと美味のイカではあるが 北部九州では、敬遠する釣り人が多い。あくまでも、夜焚き釣りといえばケンサキイカ。 スルメイカも群れにあたれば、数釣れる事も多いが、寄生虫がいる場合があるので 刺身で食べる場合は、取り除くように。